福島第一原発の事故から3ヶ月後の2011年6月、ドイツは2022年までにすべての原発を廃炉にすることを決めた。一方、当事国の日本では事故収束の糸口も見えないまま再稼動が始まり、原発輸出の話さえ出ている。


両国の違いはどこからくるのだろう。答えを求めて「私」はドイツに向かった。


そこで出会ったのは、都市で、村で、学校で、教会で脱原発と自然エネルギーへ情熱を燃やし、実践する多くの人々。第二次世界対戦での自国の行いを深く反省し、1968年の学生運動をきっかけに芽生えた反原発・環境保護の意識と情熱を政治に反映し、次世代につなげようとしている彼らの姿は、世界は市民の手で変えられると教えてくれる。









福島第一原発の事故を受け、亡き母の脱原発の遺志を胸に製作した前作『わたしの、終わらない旅』(2014年)でフランス、マーシャル諸島、カザフスタンと核に翻弄された人々を訪ねた坂田雅子監督が、次なる旅の目的地に選んだのは、欧米主要国の中でいち早く脱原発を宣言し、再生可能エネルギーへとシフトしたドイツ。


初作品の『花はどこへいった』(2007年/毎日映画コンクール・ドキュメンタリー賞)以降、大国の犠牲となった人々を描き続けてきた坂田が、権威を盲信せず、自分で考え、自ら行動を起こし続けるドイツ市民の戦後の軌跡を辿り、見出したMorgen, 明日への希望とは──。

※Morgen(モルゲン)=「明日」を意味するドイツ語